Ticket To Ride/『LOVE LOVE LOVE』(2009)
LSE時代からの友人でただ一人ハイエクが交流を続けたのが、カール・ポパーである。ハイエクとも最初の妻のヘラも、ポパーとはロビンズや経済学科の他のメンバーほど親しかったわけではなく、そのつきあいも短く、浅いものだったからかもしれない。ポパーがLSEで教えるようになったのは戦後のことで、所属は哲学科であった。********
ハイエクの学生だったマージョリー・グライス=ハッチンソンは一九四七年から四八年の時期について、次のように語った。
(この時期)私は幸運にも、ハイエクが『経済学史研究手引き』と呼んだ一連の講義に出席することができた。彼は教室を歩き回りながら、講義を行ったが、その話し方は会話口調で、大げさなところも、学者ぶったところもなかった。すばらしい記憶力に加えて、人文学系出身であることもあって、様々な国、様々な時代の哲学者、法律家、政治家、実業家の考え方についての話を面白おかしく語った。いとも簡単に、教室いっぱいの学生たちの気持ちを引きつけて離さなかった。
グライス=ハッチンソンはまた、ハイエクは「経済思想の流れについて、大きく言って、理論の流れと実証、実用の流れの二つを区別していた。講義はこの二つの思想潮流の歴史と相互関係をその初めから追っていくもので、ギリシャ哲学で始まり、ケインズで終わった」と書いている。ハイエク個人については、「礼儀正しいが、少し取っ付きにくい人物」と評する。だが、彼女も含めて学生が書いた論文を本にするときには、出版社を確保するという実際的な面でも親切に助けてくれたという。
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ヘンリー・トックは、一九四〇年代に『貯蓄と投資』についてのハイエクの授業に出席したときのことをこう覚えている。「世の中の雰囲気は社会主義に傾いていて、学生の多くは労働党政権からの奨学金をもらっていたし、ヒュー・ダルトンは閣僚になってもいた。ハイエク教授が講義の締めくくりに、こんなことを言ったのを覚えている。「私の説に同意するなら、試験でそれを書いてもいい。だが、論旨がよくわかるように気をつけること。私の説は認められていないから、減点されるかもしれない」。学生たちから大きな歓声が上がったが、そんなことは珍しかった」。
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ポパーの研究の発展とハイエクの影響については、マラチ・ヘイコーエンがわかりやすく論じている。ヘイコーエンは、戦間期ウィーンの知的状況に注目する。ポパーの知性は急進的な、論理実証主義の中で育まれた。一方ハイエクは学生時代、古典的自由主義を志向するようになった。ポパーは社会主義者だった。また、ハイエクはカトリック教徒、ポパーにはユダヤ人の血が流れていた
一九四四年、ポパーはハイエクに書いた。「存命する思想家の中では唯一アルフレト・タルスキを除いて、私はあなたから多くを学んだ」。また、それから四〇年後のハイエク宛の手紙には、年齢では三歳しか違わなかったハイエクが「父親のような存在」になったとも書いている。だが、ポパーは「ハイエクの方が優秀だとは決して思っていなかった。・・・・ハイエクに対して感謝と敬意を表することは惜しまなかったが、ハイエクに限らず、誰の権威も認めようとしなかった」。ハイエクは、ポパーとは思ったような知的友好関係を築くことはなかった。
(政治思想家のマイケル・レスノフは、)ハイエクとポパーは、「それぞれの著作で、互いに相手の文献を高く評価している。確かに二人の説に類似点や影響し合った点は見受けられるが、当人たちが個人的な友情のゆえに願ったほどには二人の説は近くない」。
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ハイエクの世界観は、自分だけでなく他者にも望ましい人生を築くのは自由や真実を追究する個人の力であるとして、人間の精神を尊重するものだ。彼はこれをユートピア的と言ったが、不可能を達成しようというのではなく、最良を目指そうという意味である。
この理念は、精神の純粋性を重視するキリスト教の理念と合致する。善き行いでも、誤った理由で行われた場合は行ったものに義はない。正しい理由で行われたものはすべて、義のある行いである。キリスト教として前進する道はただ一つ、自由と真実に生きること、正しい行動を自ら行うことによって信義を示すことである。
この考え方はハイエクの自由擁護論の基盤ではなかったかもしれないが、主張には類似性がある。
人々を良き者とするために人々から自由を取りあげようとする主義は、人を人たらしめているものを破壊することにしかならない。
自由は最良の人の道どころか、唯一の人の道なのだ。
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ハイエクは理念の構築における個人の重要性と、それに付随して、ハイエク的な意味での個人の自由が望ましいことを力説した。
その自由がなければ、個人にとっての道徳も倫理も存在しない。古典的自由主義やリバタリアニズムは古典的社会主義より高い道徳基準を追求した。
自由と真実を基盤にした人間性は自分たちにとって望ましい社会を築き上げることができる。この点では、どのような集産主義体制も適わない。
ハイエクは『隷属への道』でアクトン卿の自由についての文章を引用している。
自由は「高度の政治目標を達成するための手段ではない。それ自体、究極の政治目標なのだ」。
(『フリードリヒ・ハイエク』-第3部 ケンブリッジ 1940-1949 第20章 『カール・ポパー』。ラニー・エーベンシュタイン著。田総恵子訳。春秋社、2012年8月)
金曜日に30分だけとロックバーに寄ったら「他の人がどう思うかではなくて、俺はこれが好きだ!っていう曲」のリクエストのリクエストがあって、ちょっと困った。
結局のところ、ロックと対極にあるもの、非ロック的なものが虫唾が走るほど嫌いなだけ(もちろん、それは僕個人の感情や感性や知識や記憶や生理的な好き嫌いが元にある)かなあ?ともちと思った。
多分、リクエストのリクエストの主も、うまく「他の人がどう思うかではなくて、これが好き!」っていう曲がうまくリクエストできないのかもなと思いながら、木枯らしに抱かれて、駅への道を急いだ。
リクエストは、コンサートでは、幕間にも、もっとたくさんビートルズやS&GやC,S,N & Yなんかをやるらしい、アルフィー:The Alfee。
再収録もいくつかあるけど、2009年の日本人ミュージシャンによるビートルズのカバーアルバムから。
『LOVE LOVE LOVE』(2009)
1. BACK IN THE U.S.S.R./布袋寅泰
2. YER BLUES/椎名林檎
3. MOTHER NATURE'S SON/GLAY
4. DON'T LET ME DOWN/ 忌野清志郎 & 仲井戸麗市
5. THE FOOL ON THE HILL/原田知世
6. A HARD DAY'S NIGHT/Fire Ball
7. I'M SO TIRED/湯川潮音+LEO今井+JAMES IHA
8. YOU'VE GOT TO HIDE AWAY/高橋幸宏
9. I WANT YOU/フジファブリック
10. AND I LOVE HER/坂本冬美
11. NORWEGIAN WOOD/高中正義・松任谷由実
12. TICKET TO RIDE/THE ALFEE
13. ALL MY LOVING/unistyle
14. HELP!/吉井和哉
15. ALL YOU NEED IS LOVE/Various(*高橋幸宏、高野寛、延原達治(THE PRIVATES)、桐島かれん、佐木伸誘、稲葉智・笠原敏幸(Papa)、和田加奈子、田中一郎、村田和人、日野皓正)
どちらかというとヴァニラ・ファッジのカバーに近い、サイケデリックからヘヴィメタルに至る60年代後半を鳥瞰したようなバージョン。
The Alfeeは無類のロック好きの同級生が結成したバンド。
三人がいかにもの、日本の、R&R・R&B/メタル・V系/フォークのルックスで、中学校や高校のアマチュア・バンドだと、こういうのも多いけど、プロでそれをやり続けているバンドは、僕はほかに知らない。
Request to 『upset the apple-cart』(823)
Request to 『Common Stock』(837)
Selfish Link To My Own Blog
:Black Bird(1988)/For No One/Till There Was U(1990)
:『ナツメロ』(1988)
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